GOLDRUSH　/　インプレッション

IMPRESSION...

50：50
　旧モデルは『トライアルｘストリート』向けのバイクとしては良く出来てました。セッティング次第でトラ：スト＝8：2とか、トラ：スト＝2：8という味付けに出来る。傑作と呼んで良い代物だと思ってます。
対してニューモデル『Ｅｌｅｍｅｎｔ』、旧モデルでは出来なかったトラ：スト＝50：50を見事に形にしてます。純正の状態から何も触らなくても、マニュアルできてバニーホップも出来てダニエルも出来る…という嘘みたいなバイクに仕上がってます。

そりゃあ最先端のバイクに比べればダニエルの安定感は劣るけれど、決して「ダニエルが難しい」というレベルではありません。
立ち上がった状態を維持するのもそれほど困難ではないし、「後輪を地面から放さずに転がしながら、ダニエルっぽくペダルをこいで進む」という動作では、変にBB位置の高いバイクより扱いやすいのでは無いかと感じます。
ミニランプなどでタップして、そこから+αを考えるなんて時にものすごいアドバンテージがありそうですね。

ハンドル位置は純正でも扱い易いと感じたのですが、マニュアルでビタっとハマる安定感を求めるならもう少しハンドルを低く…という事で落ち着いたのがこのポジション。110mmのステムで、ハンドルをやや手前に倒し気味。個人的な希望を言うなら100mmx5～8°のステムで、ハンドルをトライアルにベストな位置＝もう少し前方に倒したポジションがベストです。
トライアルのテクニックもやりやすくなったと感じるのですが、若いライダーに言わせると「純正の方がストリート技が気持ち良いしマニュアルも楽♪」らしいです。好みが一番分かれるポイントなので、ライダーさんそれぞれのベストを探してもらえればと思います。

パーツ構成・リアブレーキのシューは当然交換。サンディングは『ガッツリきかせる！』よりはコントロール性重視で、アルマイトを落とす程度の極軽めの加工です。フロントブレーキは危険なくらいにきくので、個人的に長く乗るなら160mmに変更したいですね。・ハブ・リムにも特に不満や不安はありません。大きなクラッシュが無い限り簡単に壊れるものではありません。タイヤに関しても、砂が浮いたり濡れたりしていない限りはトライアルもOK。角にタイヤをセットしてしっかりツブして…という乗り方も十分出来ます。ただし、耐パンク性は低めなので、ガンガン乗るならもう少ししっかりしたタイヤが欲しい所ですね。・ハンドルは短めで曲げ角度がやや浅めでストリートには調度良いと思います。強度・耐久性は未知数ですが…。トライアル色を強めるならもうちょい長めのハンドルが良いでしょう。トライアルを意識するなら、120mm位のステムで思い切ってハンドル位置を前にセッティングするのも良いと思います。・唯一気にいらないのがクランク。トライアルで『ブレーキをかけて、ペダルを踏み込んで…』という時にネジレを感じます。個人的にはガッチリした物に変更したいですね。軽量級のライダーさんや初～中級者さんは特に気にならないと思うし、大きなクラッシュが無ければそうそう壊れるものでもないので安心して下さい。 175mmというサイズも「ちょっと長いかな…」という印象です。
総じて良い　パーツ構成も良し、ポジションも良し、総じて良いバイクだと思います。フレームもゴチゴチに硬いわけじゃなくて、ペダルを踏み込んだらそれなりにフレームがしなってくれるので本格的なトライアルの乗り方にも対応してくれます。10年前から現代に至るまでの過渡期に生まれた古き良きトラ車のテイスト…。『堅苦しい事は抜きにして楽しむ事に集中出来る』、そんなトラ車です。似た感覚で言えばONZAのZOOTですね。ZOOTは旧モデルのFourPlayの様にBBを高くするという方向で開発してたのを「ダメ、下げて！理想は15mm!!」とダダをこねて下げてもらった経緯があります。ジオメトリーが近いので似てて当然。 ZOOTは、より柔らかめでトライアルテイストが強い⇔Elementはガッシリとした感覚で強度・耐久性が期待出来るという性格の違いで選んでもらえればと思います。