『「しなり」について』では「トライアルには"しなり”が必要!」と書きましたが、“しなる”ということはフレームを作っている金属パイプが動いているという事です。良くしなるという事はよく動く(伸び縮みする)ということ。
例えばスプーン曲げ、何度も動かしているとだんだんと柔らかくなって、そのうち頭がポロっと取れてしまいますね。これが金属疲労(きんぞくひろう)というやつです。
フレームの場合、さすがにスプーンの様に頭がモゲるということはないのですが、疲労して弱くなった部分にクラック=ヒビ割れを生じてしまいます。もちろん、クラックは溶接して修理する事は可能ですが、100%元に戻るというわけではありません。

 これが“上級者用”のトライアルバイクが短命である理由です。 よくしなるバイクは寿命が短いと考えて良いでしょう(全てがそうとは言いきれませんクロモリやチタンのフレームはアルミよりはるかにしなって、それでいて長持ちします)。
しなり同様、軽さもまた諸刃の剣です。軽いバイクはだいたいが薄いパイプを使用しているので、ちょっとブツけたら凹みを生じて、この凹みがクラックの原因になる事が多々あります。

また、柔らかいフレームはほんの少しのライダーの動きに反応して微妙なしなりが生まれます。この事は例えば「スタンディングでバランスをとろう!」としている時にユラユラとバイクが揺れてナカナカ止まれない…という事にもつながります。 軽いバイク、しなるバイクは、それなりの技術が無いと気持ち良く乗れないという事です。

「でもイイバイクが欲しい」「あの選手と同じ物に乗りたい」・・・気持ちはわかります。世界のトップライダーと全く同じ物に乗れるというのは、例えば自動車のレースでは考えられない、自転車ならではのことですしね。
でも、上達すればもっと違う世界が見えてくるでしょうし、上手くなればどんなバイクでも乗りこなせるようになります。早く上達する為にレベルに合った正しいフレームを選ぶというのは必要な事であるように思います。

 

  フレームの強度について。