現在では定番とも言える油圧ブレーキですが、これが登場したのは80年代の後半、それまではトライアルにおいてもワイヤーブレーキが当たり前でした。
それも、「キャリパーブレーキ」つまりママチャリのフロントブレーキに使うタイプを使用していました。もちろん、ママチャリに使う物よりはいくらかガッシリしていたのですが、そのきかない事と言ったら・・・。今からは想像できないレベルです。
「動滑車」の原理を利用した倍力ブレーキなるモノもありましたね(←知ってる人は立派なオッサ・・・、ベテランです)。

やがて、「カンティブレーキ」というVブレーキの前身や、「Uブレーキ」と呼ばれる、現在ではBMXで使用されているタイプのブレーキが登場し、ブレーキの性能は各段に向上しました。また、その頃になるとMAGURA社の油圧ブレーキ=HS(ハイドロストップ)が登場し、トライアルの世界は新しい次元に上り始めました。

そうは言っても、現在から比べるとやっぱりブレーキはきかなかったですね。
サンディングという手法も一般的でなかったし、MAGURAのシューもそれほど性能が良くなかったので、ライダーはそれぞれにブレーキを効かせる裏ワザの発見に時間を費やしていました。

 アルコールやマニキュア落としでリムの表面に付いた油分を取り払う。または、粘着性の物をリム表面に塗りたくる。
現在ではタールを塗るのが一般的ですが、当時は「松ヤニが良いらしい」「いや、どこそこの野球のバットのすべり止めスプレーが良くきく!」「やっぱいコーラだよな」「いや、コーラはシューがはり付いてコントロールできないからポカリを水で薄めて・・・」

 先人達は現在に至るまで涙ぐましい努力を続けてきたのです。
今時のVブレーキや新型のMAGURAは本当に良く出来ています。先人達に、そしてメーカーさんに感謝です。

良いブレーキやシューを買うお金が無いんです・・・という学生諸君。滑り止めスプレーは非常に効果的です。参考までに。 

   

  ブレーキの歴史。