修正:2012/7/13

 車もバイクも電車も、『ディスクブレーキ>他のブレーキ』というのが定番中の定番。
自転車だって、マウンテンバイクを見ると高いバイクには油圧のディスク、真ん中クラスは機械式のディスクで、安いグレードはVブレーキ…というのが定番です。
じゃあ、とにかくディスクブレーキが良い!のかどうかの解説です。

まず、最初にはっきりと言えることは、ディスクブレーキでもリムブレーキでも、100%の制動力には大差ありません
ついでに言える事は、油圧式と機械式(ワイヤー引き)を比べても、やっぱり100%の制動力では大きな差はありません。 使えるパーツをちゃんと整備してあれば、安いVブレーキでもしっかりホイールをロックしてくれるし、どれだけ高価な油圧ディスクブレーキでも、整備を怠ればウソみたいにブレーキがききません。

  それでは、まずはそれぞれのメリット/デメリットを考えてみましょう。

●ディスクブレーキ●

  ・静粛性
リムブレーキで、トラアイアルに十分な性能を発揮させようと思うと、どうしてもブレーキは大きな騒音を発します。夜の練習でご近所迷惑になるからウルサイのが嫌(>_< )というライダーさんには大きなメリットでしょう。

  ・減らない
リムブレーキの場合…。
粗めサンディング加工を施したリムだと、リム表面がヤスリ状になっているのでブレーキシューの減りはどうしても早くなります。粗めのサンディング加工を行わなければ、ライディングの中ではブレーキシューはそれほど減りません。でも、山道を下るなど、高速で移動しながらのハードブレーキングを行うと、熱で柔らかくなったブレーキシューはけっこうな勢いで減ってしまいます。
対してディスクブレーキのパッドは、ライディングの中ではもちろん、高速からのブレーキングなどを行ってもそうそう減るものではないので、速いスピードでの走行&ブレーキングを考えるなら、ディスクブレーキの方が優れていると言えるでしょう。


  ・コントロール性
自然地形でのライディングにおいて、リムブレーキで安定した制動力を得ようとすると、どうしてもリムに『サンディング加工』を施す必要が生じます。ブレーキシューとリムの相性により、かなりコントロール性の高い組み合わせもありますが、「リムブレーキでの最上のコントロール性」をもってしても、ディスクブレーキの方がまだ一段上のコントロール性を有していると言えます。

  ・安定感
リムブレーキにおいて、『しっかりとサンディングしたリムx性能の良いブレーキシュー』の組み合わせであれば、ホコリや水分が付着しても安定した制動力を発揮します。
でも、ホコリや水分がべっとり付着した状態で走っていると、サンディングはどんどん削れて行くし、ブレーキの性能は下がってしまいます。
ディスクブレーキにおいては、この影響が少ないですね。
ディスクパッドとディスクローターの相性次第では、水がかかると目に見えて制動力が下がる場合もありますが、リムブレーキに比べるとホコリや水の影響で制動力の変化が起こりにくいと言えます。



●リムブレーキ●

  ・ガッシリ感
ブレーキを完全にロックした状態での話しです。
ディスクブレーキの場合、ホイールとフレーム・フロントフォークを固定しているのは、ホイールの中心部分です。
フレームであれば一番後ろの部分、フロントフォークであれば先端部分とホイールがつながっているだけ。フレームの前方からフレームの後方まで&フロントフォークの上端から先端まで固定されていない状態。フレームはヨレヨレするし、フロントフォークはビヨンビヨンと動きます。
対してリムブレーキの場合、フレームの中央に近い部分&フロントフォークの上端に近い部分でフレーム/フォークとホイールが固定されているので、フレームがヨレヨレしにくく、フロントフォークがビヨンビヨンしにくく、ガッシリしていてバランスが崩れにくいという特徴があります。

26inは20inに比べてフレーム/フォークが長いため、この影響が顕著に現れます。
また、フレームに限って言えば、このヨレヨレ感は「フレームがしなりやすい」というメリットになる場合も成ります。


  ・ガッシリ感 2
リムブレーキであれば、ブレーキをかければリムとフレーム/フォークが固定されます。 フレーム/フォーク→リム→タイヤ→地面がしっかりと繋がれていると言えます。
対して ディスクブレーキの場合、ブレーキをかけてもリムとフレーム/フォークは固定されません。フレーム/フォーク→ハブ→スポーク→タイヤ→地面、とつながっている事になります。
ディスクブレーキの場合、スポークがライダーの全体重を支え、ライディングの衝撃を受け止めていると言えます。
20inであれば、スポークが短いのでそれほど問題にはならないのですが、スポークの長い24/26inでは、どうしてもスポークがヨレヨレしてしまうので、バランスを崩しやすいと言えます。
リムブレーキの場合、ブレーキをロックしてしまえば、リムとフレームが直接繋がっている状態なので、ディスクブレーキに比べてバランスが崩れにくいと言えます。

ホイールがしっかりと組まれていなければ、リムブレーキでもやっぱりヨレヨレ感は発生しますし、強いスポークを使用してホイールを組めば、24/26inでもヨレヨレ感を軽減する事が出来ます。


  ・軽さ
2012年現在、26inに乗る世界のトップライダーは『前後ともリムブレーキ』が定番となっています。
上に書いたホイールのブヨブヨによるバランスの崩れを嫌うという理由もありますが、やはり一番の理由は軽量化です。

ブレーキ本体の重さはリムブレーキもディスクブレーキもそんなには変わりませんが、ディスクローターの分、ディスクブレーキの方がどうしても重量は重くなります。
ディスクブレーキは、ディスクローターを取り付け出来るディスク用ハブを使用します。リムブレーキではディスク用に比べて、小さくてコンパクト=軽量なハブを使用出来ます。
ディスクブレーキはフレームやフォークの端っこにブレーキ本体を装着するのに対し、リムブレーキではフォークの上端やフレームの中央部分にブレーキを装着します。重たい物がバイクの中心に近い所に有れば、回転運動を行った時の体感重量が軽くなります。
総じてリムブレーキの方が、実際の重量も軽く、取り回しも軽く出来るという事になります

 ・フレームへの負担が少ない
ブレーキをかけた時、リムブレーキはフレームの中心に近い位置で、左右のパイプでライダーの体重やライディングの衝撃を受け止めます。
対してディスクブレーキの場合、フレームの端っこ部分で、ディスクブレーキ台座がある左側のみに負担が集中します。
同じフレームであれば、ディスク台座を使用する場合より、リムブレーキを使用した場合の方がフレームが長持ちします

 以上、長くなりましたが双方のブレーキのメリット・デメリットです、

付け加えると…。

 ・どちらのブレーキにも共通して『油分は大敵』と言えますが、ディスクブレーキの方がより油分に対してデリケートで、影響を受けやすいと言えます。油分が付着すると制動力がガタっと下がり、パッドに油分が付着してしまうと、油分を除去するのに手間がかかります。これがディスクブレーキ特有のデメリット。


 ・リムブレーキの場合、ホコリや水分が付着する自然地形の中でのライディングでは、リム側面をザラザラに荒らす『サンディング加工』が必須となります。
乗っていると表面のザラザラが滑らかになってくるので、また改めてサンディング加工を施す事になります。
サンディングの手間がかかるのがひとつ。
また、サンディング加工を繰り返していると、当然リムはどんどん削れていくので、リム自体の強度は下がって行くのがふたつ。
リムブレーキに特有のデメリットと言えるでしょう。
(※:自然地形でのライディングを行わなければ、サンディング加工は必ずしも必要な事ではありません。)



どちらかが一方的に良いのであれば、劣る方のブレーキは淘汰されるはず。 それぞれに良い所があるからこそ、両方が存在しているわけです。

どちらが良いと一概には言えないので、特性や用途はもちろん、見た目の好みで選んでも良いでしょう。

 ディスクブレーキ VS リムブレーキ