ディスクブレーキのマスターシリンダー(レバー本体)のリザーバータンクのキャップには小さな穴が開いてます。穴が開いてない場合は、キャップの側面に小さな切り欠きがあるはずです。
オイル交換(エア抜き)作業を行った後、この穴からオイルが漏れるという症状についての話です。

 まずはこの穴の正体についてですね。
リザーバータンクの内部を子供の落書きの様にシンプルな絵で表現したのが1の図。リザーバータンクの中には『ダイヤフラム(ダイアフラム)』というゴムのシールが入っていて、これが本当のフタの役目をしてブレーキシステムからブレーキフルードが漏れたり、逆にブレーキシステム内に空気やゴミが入り込むのを防いでます。

 さて、ディスクブレーキは使用していると、どんどんブレーキパッドが減ってきます。
ブレーキパッドが減ると⇒減ったパッドの厚みの分、キャリパー側のピストンを押し出そうとして⇒ブレーキフルードがリザーバータンクからキャリパー側へ流れていきます。
 当然、リザーバータンク内のブレーキフルードの量が減ってしまうので、リザーバータンク内部には減ってしまったブレーキフルードの分だけ空気が流れ込まないといけない…(そうでないと不圧が生じてフルードが戻ってきてしまいます。)。
ということで、キャップには空気の通り道として、小さな穴があいています

 オイル交換(エア抜き)作業の際に、どうしても『キャップとダイヤフラムの間の空間』にブレーキフルードが少し残ってしまいます。
ブレーキレバーを握る/放すと動かすと、少量ながらもブレーキフルードがリザーバータンクから出たり/戻ってきたりするので、この時の圧力でダイヤフラムが押されて、も『キャップとダイヤフラムの間の空間』にたまっていたオイルが空気抜きの穴から外に出てくる…というのが真相です。

 ということで、エア抜き作業の後(新品でも、ブレーキ内部にエアが残っている様なら当然エア抜きを行います)、リザーバータンクのキャップからブレーキフルードが漏れるのは正常な範囲内という事です。
「なんだ、大丈夫なんだ♪」 と垂れ流しにしていると、ホコリを吸着したり塗装を痛めたりと悪さをするので、漏れたオイルはちゃんとふき取ってやって下さい。

ついでなのでお話しておくと…。
「キャップに穴が空いてるのは知ってるけど、ダイヤフラムにまで穴が空いててそこからオイルが漏れるんですけど…」 という話が年に1度くらい出てきます。原因は夏場に、炎天下や車の中にバイクを放置プレーしたこと。

 暖められたリザーバータンク内のブレーキフルードが熱で膨張して、かなりの圧力でもってダイヤフラムをキャップに押し付けます。柔らかいゴムで出来たダイヤフラムを、穴の空いたキャップにギュウギュウと押し付けることで、ダイヤフラムにきれいな○丸い穴が空きます。
当然オイルがダクダクと漏れるし、オイルが漏れた分きっちりと空気が入り込むのでブレーキもきかなくなります。夏場は要注意ですね。

 レバーのフタからオイルが漏れる・・・