90年代中ごろ、MONTYが始めてアルミ製の26inを実践に持ち込んだ時、リアには極太いタイヤ(当時はIRCのダーブロタイヤ!懐かしい!!)で、フロントにはクロスカントリー用のごく細いタイヤを装着していました。
この時から「フロントタイヤを軽くした方が良い!」という流れが生まれました。ではフロント周りが軽いと何が良いのでしょう…?

まず、単純にフロントタイヤを持ち上げるのが軽くなります。またフロントを持ち上げてグルンと回す時も、やはりタイヤが軽い方が動きも軽く感じます。また、フロントを持ち上げた状態で重心が下がるので、ダニエルの状態でをキープするのも楽になります。
良いことずくし・・・と思いきや・・・

フロント周りが軽いと、ステアケースに上がりにくくなります。また、バイクによっては前後バランスの調整がナーバスに(難しく)なります。軽いタイヤ=細いタイヤではグリップやハネが悪いという事でもあります。
前が長くて後ろが短い今風のデザインのトラ車では、簡単に前輪が上がるしダニエル状態での安定もバツグンです。長い分、フロントタイヤを持ち上げて横に回す動作はどうしても重くなりますが、もともと重いならちょっとくらい軽くするよりも慣れてしまった方が手っ取り早いかと思います。
軽さのメリットより重さのメリット、子供さんや初心者さんには特に重さのメリットの方がはるかに大きいなと、そう思います。

以下、マニアックな説明です。興味が有れば読んでやって下さい。

●ステアに上がれない?

ステアケースの上の面より高く飛びあがって、真上からドスンと着地するならタイヤもバイクも軽い方が良いでしょう。でも、子供や初心者さん達がよく使う、後輪をぶつける・後輪が壁にぶつかる寸前にリアタイヤを持ち上げる、というテクニックを考えると、フロント周りは重い方が有利です。
重ければそれだけ「いきおい」がつきます。慣性というやつですね。
勢いがあれば、少々後輪がステアの壁にぶつかっても、体だけしっかりと動いていればバイクはスルスルと上ってくれます。軽いと、勢いがつきにくいため、それだけ速いスピードで助走してステアに突っ込む必要が有ります。
 
助走をつけて、早いスピードでつっこんで・・・。それなりの腕と度胸が必要ということですね。

●前後バランスって?

 一番わかりやすい例はマニュアルです。下がろうとする前輪を、体重をかけて後ろに引っ張る事でバランスをとります。
一番つりあいやすい角度というのは、バイクによってマチマチなのですが、例えばかなりフロントタイヤを持ち上げた状態が一番つり合うポジションのバイクが有るとします。 バイクが立った状態では、身体を前後に動かすスペースが限られてしまいます。「ちょっと身体が後ろに行くとフロントがまくれあがってしまう、かといって下げようと思っても身体が前に動けない…」

前輪を重くすることで、この釣り合う角度を、少し下げる事が出来ます。身体を動かすスペース(マニューバスペース)が大きくなり、微妙な前後のバランス調整が楽に行えます。
これはバイクによって大幅に変わる要素なので、ただタイヤが重ければ良いという話ではありません。軽いだけが良い事ではない、ということで。

 

   軽量化の落とし穴