2008/10/5

 レバーの位置と『アソビ』について、用語がわからない場合はVブレーキ:レバーのアソビ調整をご参照ください。

 まずはレバーの初期位置の調整。
「ブレーキレバーがハンドルから遠くて、常に指をかけておくのがシンドイ」という場合はレバーの初期位置を近づけてやります。
MAGURAなど、油圧リムブレーキのレバーの場合は、レバー下側のイモネジを右に締めてやる事でブレーキレバーの初期位置を調整出来ます。

使用工具:2mmアーレンキー


 締めれば締めるほどレバーがハンドルに近づきます。まずは初期位置の調整、つづいて『アソビ』の調整です。

 例えばMAGURAのHS-33だと、レバーに『アソビ調整ダイヤル』がついてます。
コレを左に回してやるとアラ不思議、アソビが少なくなっていきます。
確かに便利な機能なのですが「回しすぎには要注意!」

赤いダイヤルを左に回すという事は、ピストンプッシュロッドがニョキニョキと長くなるという事です。
赤いダイヤルがナット。ピストンプッシュロッドがネジ。

ナットにボルトが刺さっていて。ナットを左に回す=ネジを緩めると、ナットは動けないので、動けるネジの方がだんだんと抜けていく。というのが理屈。

 赤いダイヤルをグルグルといつまでも回していると、ピストンプッシュロッドが抜けるとまではいかなくても、ダイヤル側の女ネジを痛める原因になります。

 他にも、このダイヤルを回しすぎることの悪影響は多々あるのですが、説明を始めるとかなりマニアックになるので省略。
このダイヤルが「これ以上は動かない」という状態=ネジが締まりきった所から数えて「アソビ調整ダイヤルを回して良いのは、左回りに5周が限界」 と覚えておいてください。
「5周回しても、まだレバーのアソビが多い 」という場合は、ブレーキシュー側で調整してやる必要があります。

 それでは続いてブレーキシュー側=スレーブシリンダーの位置調整。
『ブレーキシューとリムとのすき間が広がりすぎているので、このすき間をせまくしてやるという作業です』

この作業の前に、↑で触っていたレバー側の『アソビ調整ダイヤル』を目一杯右に回しておいてください。

 スレーブシリンダーを固定しているボルトを緩めます。
ステムなども同じですが、「ひとつの部品を2箇所以上で固定している」場合は、ボルトを交互にゆるめるのが基本。最初は交互に1/4周ずつ、ボルトが完全に緩んだら1本ずつクルクルと回してもOKです。

この作業ではスレーブシリンダーが手で動く位までボルトがゆるめばOKです。

 ここでチェック。
スレーブシリンダーとブレーキクランプの間には写真の様なプラスチックのリング(=ピロボール)が入ってます。このリングの外側とブレーキクランプの内側が丸くなっていることで、ブレーキシューの角度の調整が出来るわけです。
写真のピロボール。左が新品、使っているうちに、ひらべってくなって、幅が広がって内側はスレーブシリンダーの溝の形に凹んで・・・と右の様になります。こうなると調整に四苦八苦することになるので、スムーズな整備のためには、『変形したら交換』をオススメします。

 写真の要領でスレーブシリンダーをリム側に押してやります。まずはブレーキシューがリムに接触するまでスレーブシリンダーを押し込みます。 写真では片側しか触っていませんが、実際の整備では左右両方を均等にイジってください。
ブレーキシューが完全にリムに当たるところまで押し込んだら、ブレーキレバーを『自分が求める理想の制動位置』まで握ってください。この時、スレーブシリンダーがウニっと外側にスライドするはずです。
スレーブシリンダーが動いたらレバーを離す。この時の『ブレーキシューとリムの間隔(距離)』があなたのバイクの基本セッティングです。

左右で『ブレーキシューとリムの間隔』に違いがあるなら、左右で間隔が同じになる様にスレーブシリンダーの位置を調整。例えば・・・。
上の作業で「左側の感覚は2mm:右側は6mm」になっていたら、左右等しく4mmずつになる様に調整します。

左右の感覚が均等になったら、今度はブレーキシューがリムにまっすぐ当たる様に調整。トライアルでは、ブレーキシューとリムの面がピタリ平行となるのが基本。
変に削れて斜めに減ってしまったシューは、そのままでも使えるけど、サンドペーパー等で削って、出来るだけ綺麗な四角形に戻してから使ってやるのが理想です。

スレーブシリンダーの位置・角度が決まったら、ブレーキクランプを固定するボルトを締め付けます。
ゆるめる時と同じで、やっぱり左右交互に。ある程度ボルトが締まったら、交互に1/4周ずつ締めこんでやってください。(締め付けトルク:6〜7.5N.m)。

古いピロボールを変形したまま使っていると、この締め付けの段階でスレーブシリンダーが明後日の方向を向いたりします。まぁ、これは整備を何度も続けるうちに「コレくらい変形したら交換するべき」というのが感覚として身につきます。

 スレーブシリンダーの固定が出来たら、ブレーキレバーを「これ以上は無理!」というくらいに握ってください。
[思いっきりレバーを握ってもスレーブシリンダーがズレない」事を確認して作業完了です。

 

 

油圧リムブレーキ:レバーのアソビ調整