用意する工具

 台にしっかりと固定された万力(バイス)。クランクが差し込めるだけの直径の長い鉄パイプ、無ければ大きなモンキーレンチ。ここまではツメの有るフリーギアと同じです。
これに、ハンマーポンチ(もしくは先がツブれても良いマイナスドライバー等…)

ツメのあるフリーギアなら、最悪の場合万力が無くても作業できますが、ツメの無いフリーギアは万力が無いとまず外せません。

 まずはフリーギアがくっついているクランクを万力に固定。
フリーギアのフタを外す為にガンガンと叩くので、万力に固定した方が作業が楽です。

もちろん、クランクを地面に置いて作業しても良いし、器用なひとならクランクがバイクにくっついた状態でも作業出来ると思います。

 ACSのフタには2つのくぼみが有るので、どちらか作業しやすいくぼみにポンチなど先のとがった&カタい棒を当ててハンマーでどつき(たたき)ます。
この時注意するのは、フタが逆ネジだという事…、つまりゆるめるためには写真の様に右方向=時計回りです。

さらに注意するのは、手をハンマーで自分の手を叩かないということ。激しく痛いので...

 溶接で4箇所止めてあるとは言っても、しょせんはゆるみ止めなのでガンガン叩いていれば溶接が外れてゆるみます。
ある程度ゆるんでしまえば、後は手でクルクルと回せるはず…
製品によってはフタが外れるまでずっとタタキ続けないといけないなんて事もあります。そんな時は頑張って叩いて下さいね。

 ネジ部分が完全にゆるんだらフタを取り除きます。
ズラズラと並んでいる玉がベアリング君です。
 フタが取れたら、次はギアが着いているボディを外します。これはカパっとはまっているだけなので、持ち上げれば抜けます。この時、中のベアリングがボロボロと落ちてきます。フリーギアを組みなおして再利用するなら、ここでベアリングを無くさないようにウエス(ボロ布)などの上で作業してください。

このベアリング、小さなヤツですが、なかなかに良い仕事をします。
床に転がっているベアリングを歩きながら踏んずけるとすべって転んだりするので、再利用しないとしてもベアリングは袋に入れてゴミ箱へ。

 この最後に残ったフリーギアのパーツ、名前が無いと説明しにくいので「インナーリング」と呼びます。

 ベアリングを取り除いたら次はツメとスプリング。
ツメもただインナーリングにはめこまれているだけなので簡単に取れます。スプリングもミゾにはめこんであるだけ。指で取り外せますが、作業しにくかったらマイナスドライバーなどで引っかけて取り除いてください。 フリーギアを再利用するなら、スプリングなどは変形させないように。

ツメを取り外したら、次の作業のためにパーツクリーナーなどで油を取り除いて下さい。

 さて、ここからがメインディッシュ。

インナーリングに4箇所ある、「ツメがはまりこんでいたミゾの部分」を万力で挟み込みます。しっかりと。

ただ、あまりに強くはさみこみすぎると後の作業がやりにくくなります。

 しっかりと固定したら、クランクを鉄パイプにつっこみます。
鉄パイプでなくても、大きなモンキーレンチでクランクの端っこをくわえて回してもOKです。
写真は「フリーギアの外し方・ツメの有る場合」を参照。

パイプやモンキーをセットできたら、あとは反時計回り=左方向にクランクを回します。

 日々、ペダルを踏み込んだぶんだけ、フリーギアはクランクに食い込んでいくので、それはそれはよく締まっています。写真では何てことなく作業しているようにも見えますが、オデコの血管が切れそうな位の力がいります。

 思いっきり力をかけて、クランクが4分の1周くらい動いたら、万力を少しゆるめてやって下さい
万力で締めこむことで、インナーリングは少し変形します。つまり、万力で締めこむ事で、インナーリングも「だ円」系に変形して、クランクのネジをしめつけてしまう...こうなると緩みにくくて当然。

なので、最初も万力で締め付けすぎると逆に回りにくかったりします。ほど良く強く締め付ける…ということですね。 そして、少しでも 緩んだら、すぐに万力を緩めてやってください。
そのまま作業すると、やりにくいだけでなく、クランクのネジ山を傷めることにもなります。

どれだけ万力でしっかりとはさみこんでも、クランクを回したときにインナーリングも万力の間で回ってしまう・・。 という時には、インナーリングをグラインダーで削って2つの平行な面を作ってやれば、万力でさらにしっかりとはさむ事が出来ます。

 クランクが2分の1周もすれば、後は小指で押してもクランクがクルクルと回るはずです。

 これで作業完了。YEAH。

  フリーギアの外し方 ACS-ECHO Custom